宇宙の終わりまで続くんだ

 端正な顔立ち、何かを思い詰めたような眼差し、笑うと目尻にくしゃっと刻まれる皺、その全てが好きだった。こんなに早く別れが訪れるなんて、微塵も想像していなかった。大好きな人には「大好き」と、会いたい人には「会いたい」と言える勇気が欲しかった。悲しくても、苦しくても、永遠に立ち止まっていたいとさえ思う。それはきっと甘美な牢獄だから。

 他者と向き合う必要のない閉じた世界で、ひたすら悲しんでいれば良いのだから。待ち焦がれても永遠に会えない人の瞳は、確かに色づき、美しかった。その美しさゆえに長くは生きられなかった。ただそれだけのこと。深読みなんかしないで。全てはその美しさゆえだった。最後の姿を収めたドラマは当たり前のように放送されるけど、私は追い付けない。すぐにチャンネルを回してしまう。

 どうして皆平気なんだ?どうして。たった一人の俳優の死にここまで心が抉られ、一向に私の地面は乾かない。笑顔を見るだけで泣けて、泣けて仕方ない。顔で笑って、心で泣いていたんだね、きっと。もっとムスッと出来たら良かった。腹が立ったら、カチンと来た表情が出来れば良かった。彼は良い子だったから、それが出来なかったのかもしれない。

 悲しいけれど、その気持ちはよく分かります。周りから「大人しくて、物分かりの良い子」 と言われてしまうと、それ以外の反応が出来なくなる。物分かりの良い子として全うせざるを得なくなる。そうして次第に心が蝕まれる。気付いた時には手遅れか、手遅れとは言わないまでも、その心はボロボロだろう。

 あの日を境に毎日悲しくて、やりきれなくて、自分だけが立ち止まっているような感覚になる。試験も近づいているのに、全てがどうでもよくなり、全てが憎らしくなった。公園で遊ぶ子どもを見るだけで悲しくなる。かつて彼も子どもだったことを思い出し、生きていくことの残酷さを思う。芸能人じゃなかったら、生きていたかもしれないね。

 芸能人なんかになっちゃだめだよ、皆。プライバシーもプライベートも、そんなものは彼らにはない。それを楽しめる人はいい。でも、一人の心ある人間として立ち返った時、見せ物、ショーの主人公としての自分に気付いた時、その悲しみは計り知れないだろう。30歳を過ぎているのに17歳と飲酒し、お持ち帰り出来る人はいい。芸能人に向いている。淫行で逮捕されるべきだと思う。

 全ては見せ物であり、ショーなんです。そのショーに真剣に向き合い、心を砕いた末に散ってしまうことの切なさよ。でも、それだけ真剣に生きたことの裏返しかもしれない。それだけ悩み、苦しみ抜いた末の結果に過ぎない。好きになれて幸せでした。いつまでも変わらぬ愛を注ぐよ。永遠の30歳、宇宙の終わりまで続くんだ。