言葉を失った瞬間が一番幸せ

 自分だけが立ち止まり、一向に前へ進めない気がするのは、気のせいなのか。 どう足掻いても立ち直れないなら、いっそのこと沈んでおけ。やらなきゃいけないことなんて本当はない。私が途方もない時間を埋めるためだけに始めたに過ぎないのだから。結局さ、全ては真夏の夢なんですよ。惚れた腫れたと騒いで楽しい時は一瞬。その一瞬に永遠を見た気がしても、全ては真夏の夢の如し。

 雨が降るから君に会いたい。君だけしかいらないのに。本当は他に何もいらないのに。どんなに悲しくても、やるせなくても試験は確実に近づいてくる。時間は待ってはくれないね。私ばかり悲しい振りをして、そこから動こうとしないなら、結果は無惨だろう。這い上がれ。立ち上がるのが厳しくても、そこから動き出そうとせよ。悲しいだなんだって、じゃあ結局どうすればいいのさ。

 私が立ち止まろうが、一歩踏み出そうが、世界は止まることなく、動き続ける。ひとりで悪足掻きしたって、どうにもならないことくらい知っている。知っているけれど、どうしようもない。雨が降るから君に会いたい。悲しい夜に限って雨は降り続けるし、一向に止む気配がない。止む気配がなくとも、雨が降り続いていようとも忘れるな、彼が生きていたことを。

 ハンサムだったね、君は。精悍でハンサム。それでいて余計なことは喋らなかったね。書けば書くほど、地獄に引きずり込まれそうになる。自ら傷つきに行っているのかもしれない。書かなければいつか記憶が風化し、全てを忘れ行くのかもしれないのに。忘れたくなくて、忘れるのが怖くて、ただ書き続けているに過ぎない。カラットちゃん、ごちゃごちゃうるさくてごめんなさい。

 皆、それなりに生きているんだよ、きっと。衝撃的な一報が飛び込んで来た時は、驚くかもしれないけれど、それも全て数え切れないニュースのひとつ、ひとコマになるはず。私はどう頑張ってもひとコマに出来ない。心を持って行かれてどうしようもない。24時間、悲しくて仕方ない。どうすれば救われるのだろうか。どうすれば再び前を向けるのだろうか。答えはひとつ。新しい愛にすがれ。

 亡くしたものを抱えながら生きて、永久に傷つきたい。永久に傷ついた先に、新しい景色を見たい。きっと誰も悪くないし、誰も君を責めない。ただ、全てを手放すことは、全てに別れを告げることであり、もし「いっそのこと僕を忘れてくれ」と思っていたならそれは間違い。だって忘れられるはずがないから。今に囚われて、過去も未来も星座も越えて、永久に傷ついて生きる。それもまた風流。