現実は極上の夢でごまかそう

 夢でもいいから会いたい、と願っても、夢の中でも私は君を失っている。失った悲しみにうちひしがれ、夢の中でも涙を流し、目覚めたら涙の跡が頬を伝う日があるよ。いつまでこんな日々が続くのでしょうか。先生は「陳腐な言葉だけど、結局は時間が癒してくれる」と言いました。時間、それは私にとっておそらく最良の薬のはず。でもその薬はいつ効力を発揮するのか、それは残念ながら人それぞれでしょう。

 明日かもしれないし、明後日かもしれない。もしかしたら年単位で時間が掛かるかもしれない。それでもいつか時間が解決してくれるのなら、私はこの悲しみも甘受し、旅を続けなければなりません。私の人生は、私だけのものではないのだから。そのことを胸に深く刻むべし。愛されて育ったことを忘れてはならないよね。もしかしたら、自分自身を手放す権利なんて誰にもないのかもしれません。

 皆、死ぬ権利があるなんて思っているのかもしれないけど、果たしてそんなものは存在するのでしょうか。ぼろ雑巾のように朽ち果てようとも、悪足掻きするのが正しいのではないか、最近はそんなことを考えています。それは当人は勿論、周りも一緒になって悪足掻きするべきなんです。決して一人で逝かせてはならないんです。

 どうしてこんなことになったんだろうか、と考える時、NHKの番組のワイプに映る彼の真剣な眼差しがいつも目に浮かびます。VTRをそんなに食い入るように見たら疲れちゃうよ、とその様子を笑いながら観ていた私は、なんて浅はかだったんだろうと思います。映像ひとつ取っても手を抜かず、気を抜かない質だからこそ、こんな結果になってしまったのかもしれないのにね。

 皆、それは私も含めてですが、彼の責任感に甘えていたのかもしれないね。歌も歌ってさ、何でもかんでも背負わせて、結局何も残らなかった。彼の出演していた作品は永遠に残るけど、この世からいなくなった以上、私にとっては何も残っていないに等しい。私は、憔悴する私自身にどんな言葉を掛けたらよいのか分かりません。

 私自身のJr.に語り継ぐ、という壮大な目標は、今でも心の中で暖めています。壮大で見果てぬ夢。でも、だからこそ愛しい目標。まだ巡り合っていないだけ、きっと巡り合う、と思い始めて、どれだけの月日が流れたでしょうか。そうして少しずつ自分に言い訳をして、人のせいにして、ずるずるとおばはんになっていくのだけは避けたい。

 広くて快適な子供部屋に居座り続け、一体このまま、いつまで、一人でいるつもりだろう、とあいみょんのフレーズが頭を過っても、やはり一人でいる道を選ぶんだろう。私をこの世に繋ぎ止める唯一の鎖であるジョンハン青年、ファンクラブの契約はしっかり更新したよ。へらへら更新手続きをしていたら、いきなりカード情報入力画面が出てきて、「ハッ!お金が全てだった!」と我に返りましたよ。

 私が私自身を手放そうとした時、ブラウン管の向こう側から優しく微笑みかけてくれたのは、紛れもない、ジョンハン青年でした。ひょっとすると、君たちは私たちのことを日本円にしか見えていないかもしれないけど、私にとっては全てです。ブラウン管の向こう側に見える世界は、一見きらびやかだけど、現実は意外と、といったところでしょう。見栄とハッタリの世界でしょう。皆、美しく、麗しく見えても、所詮は作り物に過ぎないのでしょう。

 それでもいい。ただ、その世界に疲れ果てたら、どこか遠くへ落ち延びて欲しい。決して死なないで欲しい。私が悲しいから、生きていて欲しい。エゴ丸出しでみっともないかな?作り物にも心はあるんですよ。心を持った人間には、悲しいかな、芸能界は向いていない。彼は逃げられなかったんじゃなくて、真っ向から立ち向かった結果なのかな、なんて考えていたら、立ち向かうって何だ?との疑問が頭をもたげました。

 死ぬんじゃないよ。全く。悲しいから、お願いだから死なないでよ。私がこんなにも耐え難い夜を過ごし、朝を迎えても頬に涙の跡があることを君は知らない。知る由もないだろう。だって君に朝は訪れないから。もう二度と朝は来ないから。その現実に押し潰されそうな時、VTRに向けられた君の真剣な瞳を思い出す。あの眼差しこそが全ての答えだよ。