僕に悲しみの話をして

 もう悲しい夜を過ごす必要なんてないのかもしれない。いつまでも時を止める必要なんてないのかもしれない。雑司が谷鬼子母神の色づくいちょうの木を見ながらそんなことを思いました。赤く色づく紅葉も美しいですが、私は目映い輝きを放つ、いちょうの木が好き。どこまでも澄んだ青空と黄色のハーモニーが好き。BGMは山下達郎の「スプレンダー」で決まりだね。

 カラットちゃんは、普段どんな音楽を聴きますか?K-POPでは、最近はNU'ESTパイセンばかり聴いている私。J-POPでは専ら山下達郎っす。音楽を聴きながら街中を歩くのが好きなので、東京散歩ならお任せあれ。散歩中は小さなことに激しく感動してしまうので、空の青さに泣けてくることもあり、正直しんどい時も。

 青空や星空を眺めていると、どこかに大切なものを忘れてきたような気持ちになります。忘れたものやなくしたものを探したくて、どこかにその断片を見つけたくて、ただひたすら空を眺めます。すると、いつしか救われたような気がします。見果てぬ夢を呼び覚ましているのかもしれませんね。

 さて、最近は小説を読み耽っていますが、私はあちこちに気が散って、知らぬ間に3冊くらい同時進行で読んでいる時もあります。今は大学以来の筒井康隆ブームが再燃。まずは「七瀬三部作」から読もうかしら、と思いましたが、やはり中でもお気に入りの『エディプスの恋人』から読んじゃお。この小説はね、なんと言いますか、凄く良いんです。どう良いのか、と聞かれると答えに窮しますが、凄く良いんです。

 私は香川智広くんが好きなんです。筒井康隆が描く男の子が好きなのかもしれません。数年前に世田谷文学館で開催された筒井康隆展はとても楽しかったなー。しっかり図録をお買い上げし、たまに頁を捲るだけで楽しい。あの日は曇り空で、どこか寂しげな駅に降り立ちました。ずんずん道を進むと、ひっそりと、だけどしっかりと世田谷文学館がそこにはありました。

 お客さんは私を含め数名で、ほぼ貸切状態。筒井康隆の年表が壁一面に敷き詰められ、時系列順にその歴史を辿ります。「展覧会に行くほど好きなんかい!」と我ながら思いましたが、ただひたむきに好きなんです。熱中していたため、気が付くと時間が過ぎていました。売店で図録と小説をお買い上げし、撤収。お腹が空いたので、駅前でネパール料理を食べて大人しく帰宅。

 最近はコロナの影響で、どこの美術館も事前予約制ですよね。私はふらっと行ってふらっと帰りたいため、きっちりと予定を組むのが苦手。だから美術館には暫く行っていません。ふらっと入り、しっかり感動していた時間が懐かしいや。芸術には触れられるうちに触れておくのが吉。世の中は何が起こるか分かりません。会いたい人には会い、食べたいものをたらふく食べるのが吉。

 「いつか」なんて言っていたら、そのいつかは永遠に来ないかもしれません。そんなことを思わされた2020年でした。ハッ!またまた湿っぽくなりそう!じめじめしたブログになりそう!楽しいことをしよう、そうしよう。私は音楽を聴いている時間もこの上ない幸せです。きっと、音楽の世界観に入り込み、新たな景色が見られるからでしょう。

 文章を書いている時間も満たされています。私の内面で沸々と沸き上がり、発露を求めた感情。それはその先の誰かに届く可能性がある。その奇跡のような、わずかな可能性を秘めた私の言葉。私だけの言葉。そう考えると、ずっと土の中を掘っているのも悪くないかもね。