「あなたとキスまでの距離」

タイトルに騙されてはいけない危険な映画、それが2013年のアメリカ作「あなたとキスまでの距離」です。嫌な余韻が…いつまでもついてくる…うわー余韻どっかいけー!な映画でぴた☆タイトルだけ聞くと、10代の甘酸っぱい恋愛トーリーな感じしません?キャッキャウフフな感じ。

あの全てが煌めいている感じが!騙されちゃいけません!非常に息が詰まる、どん詰まりの愛の物語でした。んー、あれを愛と言って良いのかな。あのおっさんは現実から逃げたかったため、彼女じゃなくてもこの話は成立したはずなんです。いや、でも惹かれたのは事実だから愛か。ってごちゃごちゃうるせー!まずはあらすしをば。

チェロ弾きとして楽団で演奏しながらも、家族を養うため嫌々音楽教師をしている丸眼鏡インテリ風おっさん家族のもとに、イギリスからピアノの上手な美人交換留学生がやって来るのですが…ギャー!というお話。

おっさんにはいちいち言葉に棘がある奥さまと、なんだか明るいんだか暗いんだか真意を図りかねる微妙な娘が一人います。冒頭に家族写真を撮るシーンがありますが、そこから既にこの家族の関係が冷えきっていることが分かります。見せかけは良いんですがね。

で、そこにやけに肌を露出した、でも顔は地味めな18歳の留学生がやってきて、おっさんと惹かれあってしまうというね。おっさんはどん詰まりですから、若い女の子に安らぎを求めるんですわ。

しかも彼女は奥さまと違って、音楽への思いに共感してくれますから。奥さまは彼のチェロはもういいから、音楽教師としての安泰な生活を望んでいます。この奥さま、いちいちチクチク刺してくるんです~。

こんな家じゃ息詰まるよな~。とおっさんに若干共感したりして。演奏終わりに仲間とタバコを吹かしているだけでチクッと刺してきますからね。これでは安らぎません。だけど、奥さまにもチクッと刺したくなる理由があったんですねー。それは…秘密!

おっさんと美人?留学生が互いに意識し始め、ぎこちなくなるシーンなんかリアルで良かったです。触れたいけど、でも…!!!という葛藤がたまらんな~。また視線ひとつひとつの意味が痛いほど分かってドキがムネムネ~。

実に官能的な作品でござった。だけど自分の父親が…と考えたら「勝手すぎんだろ!ドン引きだわ!」の一言で済んでしまいそうですね。ま、画力があったため集中して観られました。

とにかくこのおっさんは父親業が重荷であり、父親である前に一人の男性ですからね。男の性とでも言いましょうか。やたら肌を露出する留学生にイチコロリン♪

長くなりましたがとにかく家族の重さ、愛の煩わしさが堪能出来る作品でした。嫌いじゃないね、この映画。結末はナイショ!