暗闇に光を撃て

 ままならない現実を前にした時、人は初めて生きる意味を問うのだと思います。しかし、結論から言ってしまえば、生きる意味なんてない、ということです。生きる意味を探し求めたって、誰かが答えを提示してくれるわけではない。ただ日々を積み重ねていくことしか出来ないんです。

 そして、残念ながら、生きる意味とは一人では見つけられないものなのでしょう。自分にとって大切な誰かを通して、いつか己を知る日が来るのでしょうか。それともそんな日は永遠に来ないのでしょうか。

 積ん読を前にして、本にしか拠り所を見出だせない自分に歯痒さを感じます。 でも、きっとこの本が何かを授けてくれるはずだ、という期待もあるのです。

 質を問わず、世の中にはあらゆる情報が氾濫しています。その情報の海の中を泳ぐのではなく、私はひたすら本の世界に没頭しようと決めました。

 本を通じて他者と対話し、作者と対話し、自分自身と対話したいのです。本が売れなくなったと叫ばれて久しい昨今ですが、ジュンク堂にはいつも多くの人がいるのにね。

 頁をめくる人だけが辿り着ける世界を見てみたいという思いと、私が堂々巡りしている今、この時から一刻も早く救われたくて、本を開くのでしょう。

 時間だけはある今の生活の潤い、それはジョンハンであり、NU'ESTであり、音楽であり、本なのです。オタクの世界は閉じた世界だと思われがちですが、心の中に壮大な宇宙を秘めているのです。好きなものを通じて、世界を見ているのです。明日を夢見ているのです。

 心の健康のためには、積極的に幸せホルモンを出しましょう、とテレビで言っていました。これぞオタクの強み、幸せホルモン上等、といったところでしょうか。

 コンサートという最上の幸せホルモンを蓄える場がない今、DVDを観たり音楽を聴いたり、何とかして生き延びようとしているってわけ。しかしよく考えてみると、25歳までジョンハンのことを知らずに生きてきたんです。曲がりなりにも生きてこれたんです。

 いや、色々あったけど、ま、今も生きてます。会えないからって死ぬわけじゃないし、お互いの事情もよく分かっています。でも、それじゃ苦しい。毎日会いたい。とつまり君にAddictedなわけです。

 この「君にAddicted」ということこそ、生きる意味なのでしょう。いくら本を読んでも、そこにヒントはあるかもしれません。でも、どこか寂しいのは、きっとまだ恋を知らないからでしょう。私はまだ何も知らないのです。