全てを諦めているように思えて、何一つ諦めきれない私への歌のようにも聴こえるぜ。全てを諦めたはずなのに、実は何も諦められない。もう誰も好きにならないと決めたのに、ちゃっかり惚れている。ちゃっかり惚れてしまったなら、行けるところまで行く自信はない。
もう通うのは止めよう、ハニちゃんに似ているお兄さん(おそらく、絶対に年下)に会いたいがために苦いコーヒーを飲む必要なんてないじゃん。なぜあんなにも魅力的なのだろうか。なぜあんなにもあらゆることに興味が無さそうなのだろうか。なぜ、なぜと思ううちに気が狂いそうになる。
もう追いかけるのは止めよう。ハニちゃん似を追いかけるのに忙しい文系は、余りにも見境がなくて恥ずかしいや。好き好きアピールが出来たらどんなに楽でしょうね。愛してるの響きだけで強くなれたら、どんなに救われるでしょうね。忘れたくないことばかりに埋め尽くされた私の記憶。
私だけの記憶は、誰も傷付けないお笑いなんかじゃ満足できません。傷付くだろうけど、傷が教えてくれることもある筈だよね。斜め前髪、一昔前の韓国のアイドルのような髪型の彼は、一度だけおでこを出していた時がありました。(ストーカーの極み)(ゆるちて)その時、ハニちゃんの広いおでこを彷彿とさせる姿を見た時、時間が止まりました。
ミノキ買ったるからな!!と更に愛が深まりました。勝手に愛が深まるただの客。余りにも分が悪すぎる。勝手に惚れて、勝手に浮かれるタチの悪いただの客。中高時代の友人がもんじゃ焼き屋のお兄さんに「イケメンですね!」と言った瞬間、顔から火が噴くほど恥ずかしかったあの時。
大してイケメンではないのも憎らしいし、そんなことを軽々しく言う友人の神経も分からぬ。私はね、自分で言うのも憚られますが、慎ましい客なんですよ。慎ましく、おしとやかな客である私にこの先どうしろと?
「惚れちまいました。」と言える能天気さは皆無。迫り来るバレンタインデーに賭ける積極さも皆無。いや、もはや地蔵やんけ!地蔵ならどんなに良いだろうか。心を持った地蔵にとって、この世はまさに生き地獄です。
宇多田ヒカルは、大人になるしかなかったように思います。周りが彼女を子どもではいさせてくれなかったように見えます。だからこそ悲しいし、だからこそ美しいのでしょう。地蔵もどちらかというとそのタイプ。(烏滸がましい)君が思っているより、私は君を愛しているよ。